転職エージェントのメリット・デメリット-人材紹介サービス利用時の注意点

現役転職エージェントからのアドバイス

インターネットや電車広告、TVCM等で転職エージェント各社の広告を見かけたことがあると思います。『非公開求人多数!』『利用者満足度90%!』などのフレーズをみて、転職に有益な情報がもらえそうと、漠然と理解できるものの、どんなことをしてくれるのかよくわからない、という声も多いです。

また、「ハローワークやネットから応募する求人サイトと、転職エージェント会社の違いってあるんですか?」といったご質問も多く頂きます。

そこで、現役の転職エージェントとして、2500名以上の転職希望者の方に相対してきた経験と、私自身が2回の転職を通じて実体験したことを交えて、転職エージェントを利用することによるメリットとデメリットについて、リアルにお伝えしていきます。キーワードは「転職エージェントを使い倒す者が転職活動を制す」ということです。

転職エージェントの利用でメリットが大きいもの

転職エージェント会社に登録すると、いろいろなサービスが受けられます。その中で、特に求職者に好評だったものをまとめました。豊富な企業情報や業界情報を活用しましょう。

「情報迷子」にならない。豊富な求人情報を得て、転職活動のプラン作りができる

情報迷子にならない

転職活動を開始されるときに最初に困ることは、どこから情報を得て、どの情報を信じて、どのように計画を立てて転職活動を行えばよいかわからない「情報迷子」状態になることです。

実際、ネット上に情報はたくさんあります。ただ、その中からどの情報を信じて応募していけばよいかとなると、かなり迷うのではないでしょうか。

そういったとき、転職エージェントは相談相手となり、取捨選択した情報を提供してくれます。そして転職希望者の方が方向性と計画性を持った転職活動を行うようにサポートしてくれます。

取捨選択した情報では、具体例としては下記の3つがあります。

・非公開求人を見ることができる

非公開求人の紹介 転職エージェントも集客の一方法として、非公開・公開求人の2種類を設定しています。基本的には非公開求人の方が、数が多く質が高い求人になります。転職希望者が応募する割合は、転職エージェントによって異なりますが、公開:非公開=1:3~4程度です。

・求人のマッチングをしてくれる

求人とのマッチング転職希望者の経歴や希望に応じて、数千件の求人の中から数十件レベルまで絞って提供してくれます。まずは「この提案された求人を基準に、比較検討できる」というスタートラインに立てます。

・業界ごとの転職市場の動向や相場観を知ることができる

転職市場における相場観を知ることも、転職活動の計画を立てる上で非常に重要です。例えば、総合商社を目指したいという方がいらっしゃる場合、中途で転職することは(新卒の時以上に)至難の業です。もし転職エージェントを利用せずに転職活動をしていたとしたら、通過する可能性がゼロに近い総合商社の求人情報だけを見て応募して・・・の無益な時間を過ごしてしまうことになり、注意が必要です。

そうしたときに、総合商社以外の志向性に合致した求人を転職エージェントであれば、複数提案することができ、選択肢・可能性が広がっていきます。

登録後にある転職エージェントの面談では求人紹介や、業界の動向を知ることができます。詳細はこちらで詳しくまとめています。
→ 転職エージェントとの面談は怖くない!準備から服装など気になる質問18個をまとめました

ここがポイント
  • ・転職エージェントを利用する大きなメリットは、非公開求人を見られること、適切な求人のマッチング、転職の相場観がわかること

転職活動中の具体的な活動支援

転職活動

どんなにビジネス経験が豊富な方であっても、転職に関しては「初心者」状態の方が大多数なので、具体的な転職活動の細かなサポートを受けるメリットは大きくなります。

・スケジュール調整

日程調整もしてくれる例えば、面接日程の調整時に多くの転職希望者の方が失敗しています。原因は日程調整を早く進めないからです。調整の連絡が遅れ、チャンスを逃すケースも多々あります。 多くの方が現職の都合を理由に、連絡を後回しにするのが現状です。

一方で、企業側から見ると普通のビジネスのアポ取りと同じで、企業から「面接で会いたい」という返事をしているのだから1日・2日で返事がくるだろうと想定しています。

一般的にビジネス場面で考えると企業側の考え方の方が理にかなっていますが、不慣れな場合は「転職活動=非日常の活動」と多くの方が認識しているので、チャンスを逃します。

そういった場面で転職エージェントは、適切なアドバイスをしたり、どうしても日程調整が直近で難しい場合は企業側に中間報告を入れたり、企業との間に入って面倒なやりとりを代行するとともに、転職希望者の方の企業評価の劣化を避ける動きをとります。

・職務経歴書の添削

求人とのマッチング職務経歴書は転職活動において非常に重要な書類ですが、転職活動に不慣れな方は、自分視点の書類(例:こんな努力をした、こんなプロセスで取り組んだ・・・と数ページ)を作成しがちなため注意が必要です。

ただ、企業が知りたいのは、「この人は当社にどういった貢献をしてくれるか」のみなので、苦労話や細かい話は重視していません。 転職エージェントは、その両者にあるズレを埋めて、より企業にPRできる内容へと添削を行います。

添削については、こちらの記事で詳しくまとめています。⇒ 転職エージェントの添削は必須!履歴書・職務経歴書の通過率が上昇。推薦状の後押しも

・面接対策(通過率 約30%向上)を受けることができる

丁寧な転職エージェントであれば面接対策を対応してくれますが、面接対策をするかどうかで、面接の通過率は約30%向上すると言われています(筆者が所属している会社で、面接対策を施した方々の通過率を比較した結果。詳細は非公表)。 面接慣れしている方はほとんどいないので、アドバイスは受けた方が良いです。

面接官の基本的なスタンスや視点、どのように思考の深さを測られるか、個別企業の面接ポイント等、豊富な情報を転職エージェントから提供させていただくので、一人で悶々とするよりは圧倒的に情報が豊富で効率的です。

・不安になったら相談できる

信頼できる転職エージェントであれば、客観的な事実情報を提供し、長所・短所などの判断材料を提示してくれます。 例えば「2社の内定からどちらを選べばよいか」や「面接が全く通過しないがどうしたらよいか」という、諸々の悩み相談に対応することができます。

家族や友人・知人などの身近な方は、個人的な観点からのアドバイスになってしまい、情報が偏りがちです。信頼できるエージェントは無理に入社させようとはせず、中立的な立場で客観的な情報を提供してくれます。

転職エージェントの利用で一定のメリットがあるもの

これから記載する内容は、上記で記載した内容に比べるとメリットは大きくないものの、一定のメリットがある内容となります。

・キャリアについての相談

求人とのマッチング転職希望者の方の志向性や希望に応じて、一定のキャリアパスや可能性について転職エージェントはアドバイスができます。ただ、非常に不確定性が高い現在、計画通りのキャリアは誰も描けない時代です。実際に行動をして決めていくのはご自身になるので、転職エージェントに答えを求めないスタンスが重要です。

・履歴書の添削が受けられる

履歴書はほぼフォーマットが決まっているので、過不足なく・問題なく記載すれば良いので、それほど転職エージェントが介在する価値はないかと思います。

・不採用理由が聞ける

求人とのマッチング選考が深い段階に入った際に、見送り理由や評価等を確認できる強みがあります。その後の選考に活かせるため価値があると言えますので、ぜひ転職エージェントに確認いただければと思います。

ただ、書類選考や1次面接段階では「他応募者との比較により」という見送り理由しか開示しないケースが大半です。企業から見ると何十名も応募してきているうちの1人でしかないため、個別の見送り理由の対応をしているわけにはいかない、という企業側の論理も理解できます。

・年収交渉

求人とのマッチング一般的な会社員の場合、現実的に年収交渉はほぼできないと考えていただいた方が無難です。逆に希望年収を高く出すことで、内定を獲得できていたのに不合格になるリスクすらあります。

ただ、「もうすぐ子供が生まれるので、現職と同じ○万円程度は欲しい」や「最低希望は○万円、最高希望は○万円」という希望は明確化し、その希望を転職エージェント介して伝えることで、転職エージェントが間に入ってうまく交渉していくことはできます。

ここがポイント

転職活動中の主な支援は

  • ・スケジュール調整(転職希望者の評価を下げない)
  • ・書類添削(転職希望者と企業のズレをなくす)
  • ・面接対策(通過率が向上)
  • ・相談相手(客観的目線で情報提供)

転職エージェントを利用するデメリット

ここまでは転職エージェントを利用するメリットを数多くお伝えしてきましたが、転職エージェントを利用することによるデメリット・リスクもあります。それは以下の3点にまとめることができます。

ダメな担当者に当たる可能性がある

デメリットのあるエージェント

同じ転職エージェント会社の中でも、複数の担当者(キャリアアドバイザー)が存在し、ベテランから経験の浅い担当者、意欲がある担当者・ない担当者と千差万別・玉石混交です。 仮に「ダメな担当者」にあたってしまった際の、具体的なリスクとしては以下のようなことが想定されます。

・仕事が遅い場合

転職活動はスピード勝負です。特に人気・優良求人は応募者が殺到するため、そういった求人の情報提供が30分や1時間遅れることで応募期限に間に合わず、志望度が高い企業に応募できなかった・・・ということも実際発生します。

・情報が偏っている場合

総合型の転職エージェントでも、担当者によって得意分野(よく転職支援する業界/前職で経験した業界等)があり、逆に全く知見のない不得意分野もあります。

例えば、金融業界は得意でも、インターネット業界は素人レベルということはざらにあるため、得意分野の求人情報ばかり提供されて、「専門家が自分にマッチする求人を紹介してくれているのだから、こんなものだろう」と信じてしまい、ご自身の転職活動の選択肢を狭めてしまうリスク・デメリットがあります。

・情報が不確かな場合

求人とのマッチングこれはベテラン担当者でも経験が浅い担当者でも同様に起こり得ることですが、例えば面接詳細情報について、最新の事実ではなく「過去の情報/担当者が思い込んでいる情報/勝手に想像でこしらえた情報」を提供される場合があります。

経験が浅い担当者の場合は過去の経験がないため有効な情報提供ができず、ベテラン担当者の場合は知見がある反面、情報がアップデートされていない、というデメリットになります。

不確かな情報を信じたことで面接が不合格とならないように、転職エージェントの担当者に「企業から提供されている最新情報であるか」を最低限確認されることをお勧めします。

※なお、企業からの情報でも、採用担当者/採用責任者/現場担当者/現場責任者/役員等、どこが情報源かによってその確かさも変わってくるので、「企業からの情報だから大丈夫」と鵜呑みすると、それはそれで注意が必要です(例えば採用担当者レベルだと、役員の面接はコントロールできず、詳細を把握できないケースが多い)。あくまで参考情報までとしていただいた方が無難です。

転職エージェントの違いを知らないと失敗する

大手総合と専門特化

転職エージェントからの情報だけを信じず、その時々のご自身の方向性・志向性に応じて柔軟に転職エージェントを使い分けることが、ご自身の転職活動の幅を狭めないリスク回避にとって重要となります。

転職エージェントといっても、総合型か分野特化型か、両手型か片手型か、等で大きく提供されるサービス・情報が異なります。

大手総合型と専門特化型とは?

大手総合型とは、リクルートエージェントやDODAのように、様々な職種の求人を取り扱う人材紹介会社です。求人数が多く選択肢を広く取れるのが魅力です。企業規模が大きく全国展開しているところが多いため、地方でも利用しやすいという長所もあります。

一方、専門特化型は特定の業界や職種に絞って求人を取り扱う人材紹介会社のことを言います。全国対応しているところもありますが、大都市圏が対応範囲という会社も多く見られます。業種や職種を絞っているため、その分深い知識や企業との太いパイプを強みとしているところが多いです。

総合型・特化型の例です。ある転職希望者が、未経験からコンサルになりたいとして、コンサル特化型の転職エージェントに登録したとします。転職活動の途中で、彼はコンサルではなくネット業界に興味が出ました。そのとき、転職エージェントが紹介してくれたネット業界の案件は5件しかありませんでした。彼は5件の中から選ぶことになります。
このように特化型の場合、分野の異なる求人については件数も少なく、転職エージェントの業界知識も少ないという短所を持つ会社が多いです。

では、総合型の場合はどうかというと、業界問わず幅広く数百件~数千件以上の案件を保有しているケースがほとんどなので、その差は大きなものとなります。

もちろん、転職活動の方向性が明確である場合は、専門特化型転職エージェントの方が豊富な情報を持っていることの方が多いので、総合型・分野特化型のどちらが良い・悪いということは言えません。それぞれの人材紹介会社の強みを把握し、利用中の転職エージェントに縛られないようにしましょう。

両手型と片手型について

  • 両手型:転職エージェントの担当者1名が、法人企業と個人転職希望者を担当する形。
  • 片手型:転職エージェントの中で、法人企業担当と、個人転職者希望者の担当が分かれている形。

一般的に、両手型は特定企業や業界の詳細な情報提供、片手型は幅広い求人情報の提供が得意とされる。

ここがポイント

転職エージェントを利用するデメリット

  • ・対応が悪い、知識がない転職エージェントが担当になる可能性がある
    ・転職エージェントの違いを知らないと損することがある

転職エージェントの選び方 大手・特化型を3~4社登録

先にも記載したように、同じ転職エージェントの中でも担当者によって質の差異はあるため、一概にこの選び方がベストというものはないのですが、基本的には下記のようなポイントを参考に選択することをおすすめしています。

・3~4社の転職エージェントに登録

まず、担当者・その転職エージェントのサービス提供スタンス・対応方法・求人数・得意とする領域等を比較するため、目安として3社~4社は並行して登録し、比較検討されることをお勧めします。

・大手総合転職エージェントを優先

転職活動の方向性が明確でない場合は、まずは、大手・総合型の転職エージェントを1~2社選んでいただくことが良いかと思います。総合型の方が、幅広い業界の求人を保有していて、選択肢を幅広く持つことができることや、数多くの転職成功事例を蓄積しているため似たタイプの方の転職事例を参考にしやすいという強みがあります。

合わせて、専門特化型の転職エージェントにも登録しておくことも有利に転職活動を進めるためには有効です。専門特化型の転職エージェントの場合は、得意とする分野の企業に太いパイプを持っていることも多く、専門特化型を大手総合型と併用することで選択肢を広く、深く持つことが可能になります。

また、専門特化型は業界知識が豊富なため、業界内でのキャリアパスにも詳しく、長期的なキャリアプランを考える際に有益なアドバイスを得やすいという長所があります。

転職エージェントのリアコミでは、転職エージェント会社ごとに体験者にアンケートをとり、その評価結果をランキングしています。全体、職種別にまとめているので、会社選びの参考にしてみてください。
→ 転職エージェントおすすめランキング2016|転職活動の実体験談から評価

・転職エージェントの両手型か片手型のタイプ選択

こちらも転職活動の方向性が明確ではない場合や、幅広い選択肢をご覧になりたい場合は、総合型×片手型のタイプを選択いただいた方が安全かと思います。片手型の場合は、その担当者が専門とする業界や企業の求人だけを紹介されるリスクがあるため注意が必要です。

・丁寧で親身なサービススタイルか

当然ながら親身に対応してくれるところ、上から目線ではないところ、面接対策サービスや書類の添削サービスを丁寧に対応してもらえるところを選択のポイントとしてください。 最初の面談時に、そういったサービスがそもそもあるか、面倒がらずに対応してくれるか、を確認してみてください。

また敢えて、作成途中の職務経歴書を転職エージェントの担当者に見せて、どういったアドバイスをしてくれるかで、その担当者のレベルを確認するのも一つの方法です。

なお、各社からのメールが多くなり煩雑に感じる場合は、各社にメールをしてメール配信を止めてもらうか、フォルダの振り分けをするなどで対応できます。

転職エージェントの選び方についてはこちらでも詳しく解説しています。
転職エージェントの選び方ー大手と特化型の活用方法

ここがポイント

転職エージェントを選び方のポイント

  • ・大手を優先させ、幅広い選択肢が見たい場合は、総合型と片手型で選ぶ
  • ・外れリスクを回避し可能性を広げるために、3社ほどに登録して併用し比較する

まとめ

ここまで述べてきたように、メリットもデメリットもある転職エージェントの利用ですが、結論としては転職エージェントを利用する方がメリットが大きいと言えます。

そうなると、メリットを最大化し、デメリットを最小化することが重要となります。コントロールできないデメリットについては、転職エージェントの担当者にこちら側から情報提供を要求する、対応が良くない場合は担当者変更を依頼する等の方法で最小化できます。

またメリットの最大化についても、待ちのスタンスではなく、こちら側から転職エージェントを使い倒す攻めのスタンスで要望していく(例:面接対策の依頼、企業情報の提供依頼等)ことが重要です。

つまり、転職希望者側が自分の転職活動であるので、主体的に発信していくことが重要ということです。お客様の立場ではあるものの、サービスを提供されることを受け身で待っていてはいけません。転職希望者が主体的に動けば、転職エージェント側もより本気になり、よいサービスを提供してくれるはずです。

転職エージェントの選び方については、本稿に挙げた選び方を参考にし、自分に合うものを探していただければと思います。

参考:
2020年の労働市場と人材サービス産業の役割